「君もシェムリアップに行くのかい?それなら私たちと行かないか?」
そう声をかけられて振り向くと、そこには50〜60代くらいの外国人夫婦がベンチに座っていた。
英語に訛りがあったので、英語圏ではない。
聞いてみたらフィンランド出身とのこと。
丁度彼らはタクシー運転手とシェムリアップまでのタクシー交渉をしていたところらしく、これからシェムリアップに向かうらしい。
ちなみにタクシーの料金は、乗り合いなら12ドルで良いとのこと。
少し高い気もするけれど、バスの半分の時間で戻れるし、そこは仕方ない。
タイムイズマネー。
一緒に乗るならすぐに出発するよと言われ、声をかけられてから数分以内に、僕はこのフィンランド人夫婦と一緒のタクシーに乗っていた。
タクシーの車内で、僕がシェムリアップからタイの国境まできてパスポートを持っていないことに気づいた話や、今どこにあるのかがわからないという話をした。
すると彼らは本当に心配してくれて
「きっと見つかるから大丈夫!そんなに落ち込んじゃダメだよ。」
本当に温かい言葉をかけてくれた。
この旅でフィンランド人に数回会ったけど、みんな本当に優しい。
この夫婦も本当に優しい二人だった。
タクシーの中で、僕が今までしてきた旅の話や彼らの旅の話をした。
僕はシェムリアップから来たばかりだったので、彼らのためにアンコールワット巡りのアドバイスや買い物ができるマーケット情報などを教えてあげると、本当に喜んでくれた。
彼らとおしゃべりをしていると、タクシーの2時間はすぐに過ぎてあっという間にシェムリアップに到着。
タクシーを降りたところでその夫婦とはお別れ。
別れ際に
「君の旅が良いものになるように祈っているからね、頑張れ。」
と言ってくれ、少し目頭が熱くなった。
夫婦と別れた後に、僕が真っ先に向かったのは5日前に泊まっていたホステル。
5日前ということもあって、もしパスポートを忘れていたとしてもすでに警察に届けられている可能性もある。
こちらの警察はそういった遺失物を届けられていても、失くした人が賄賂を払わないと返してくれないと聞いていたので、それだけは避けたかった。
国境にいた時にそのホステルには電話をしたんだけれど、回線の故障か電話番号が間違っているのかつながらなくて、結局その場まで行ってみなければいけないことに。
タクシーを降りて、トゥクトゥクで5分ほど走りホステルに到着。
荷物を抱えて、フロントに走る。
「5日前にここに泊まっていて、その時にパスポートを置いていったかもしれないんだけど、なかった??」
そう言った途端、
彼らが「あー!」と顔を見合わせた。
「君が出て行った後に、うちのハウスキーパーが見つけてくれたんだよー。見つかって良かったね。」
パスポートが無事に見つかった。
見つかった途端、疲労感と安心感がこみ上げてきて、フラッと身体がよろめく。
本当に無事に見つかって良かった。
そして、自分に無知さが本当に恥ずかしい。
前に泊まっていたホステルにパスポートを置き忘れて、5日間も気がつかないでいたなんて。。
今回のパスポート紛失で、当たり前だけどパスポートの管理の仕方を再徹底することにした。
昨日、1日遅れでタイに入り、バンコクへと到着。
9月に来ているから約4ヶ月ぶりの訪タイとなる。
4ヶ月前に散々歩いた、見慣れた道を見つけてホッと息をつき、4ヶ月前と同じ宿へと向かった。