インタビュー-アジア

「自分が本当にしたいことを考えたことはありますか?」学習塾TJ☆ブリッジ代表 小川一樹

 

海外で働く日本人がいるということは、その方の家族・お子さんだって一緒に海外に住んでいるということが多いということ。

そういった海外に住む子供たちの多くは、母国である日本に帰ってくれば「帰国子女」と言われる存在でもあります。

俗に「帰国組」などと言われることもありますが、彼等は日本で育ってきた日本人とは少し違った外国の雰囲気を持っていて、語学も堪能の人が多い。

私自身も帰国子女の友人に対して、なんだか日本人というより外国人のように感じるなぁ・なんだかそういう雰囲気が羨ましい!と思った経験もあったり。

そんな海外に住む日本人の子供たちに対して、勉強だけでなく子供たちの心・日本人らしさを育てるといった学習塾TJ☆ブリッジの代表でいらっしゃる小川一樹先生にお話をお伺いいたしました。

 

以下敬称略

 

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鈴木:先生、本日はお時間をありがとうございます。よろしくお願いいたします。

小川:こちらこそよろしくお願いします。

鈴木:それでは、先生のこれまでの経歴についてお話をお伺いできますでしょうか?

小川:はい。私は学生の頃、理系の勉強をしていたんですね。

そして大学も後半となって就職活動をする時期になったんですが、ふと「俺はここまで自分の頭で考えて、この道を歩いてきたのかな。」と考えることがあったんです。

振り返ってみたら、大学進学は親の影響が一番、そして周囲が大学に進学するから自分も行くのが当たり前だろうってことで進学をしたんだなと思ったんですね。

でも、その時になって初めて「自分が本当にしたいことはなんだろう」って考えたら「自分は自分が学んだことを誰かに伝えることをしたい」っていう想いに気がついたんです。

理系の大学だったんで、就職先は理系が当たり前。

それでも教育に携われる仕事というものを自分で探したら、教育系の出版社というものが見つかってそこに入社することが出来たんですね。

ただ実際入社してみると、配属されたのは教育系の部署とは全然違う営業部でした。時間が経てば教育系の部署に異動もできる可能性もあったんですが、やっぱり自分の本心に立ち戻ってみるとやはり自分がしたいのは直接人にものを教えることだったんです。あと、当時海外で働くということにも同じように興味があって、

「人にものを教える+海外で働く=日本語教師」

なんていう曖昧な考えではあったんですが、仕事をしながら日本語教師の資格を取るためにダブルスクールを始めたのが、教育者としての第一歩でした。

 

タイ→日本→そしてまたタイに!

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鈴木:タイに来たきっかけというのはなんだったんでしょうか?

小川:資格を取るために学校に通っていた時に、その学校で働いてみないかとお誘いがあったんです。そしてその学校のタイ支社があるので、任せたいとも言ってもらっていたんですね。自分はこれからタイで頑張るという思いで勉強もしつつ、その学校へ転職もしました。しかしある時、会社の都合によりタイ支社が無くなってしまったんです。私としてはもう気持ちはタイで仕事をする!というところまで来てしまっていたのでその学校を辞めて、単身タイに来てしまったんですよ。笑

鈴木:波乱万丈ですね!

小川:ただ、タイに来たはいいものの日本語学校の仕事を探したらどこも給料が安くて。笑 でもそれはただのリサーチ不足がいけなかったんです。若気の至りですね。笑

ちゃんと人材紹介の会社に登録をして仕事を探したら、いい会社にも巡り合うことができて、タイで仕事を持つことができました。

そしてガムシャラに頑張っていると、色んなところから仕事のお話を頂くんですね。ある会社にうちに来ないかと誘って頂いて、そちらでまたガムシャラに働いておりました。

そんな時に、大学時代の友人がこれから「小学校の教員を目指す」ということを言ってきたんです。

その時の私は全く無知で、「これからまた4年生の大学に通うのか?」なんて聞いていたんですが、彼が「何言ってるんだよ!笑 足りない単位は通信で勉強すれば大学に通う必要はないんだよ!」と言ったんですよ。

私にとっては衝撃でした。

これからでも日本の学校の教員になれるんだと知った途端、自分も挑戦したいと思ってしまったんです。それから会社の社長に理由を説明をして、「無理だったら戻ってきてもいいからやってみろ。」と言ってもらえたんですね。結果は試験を一発合格。会社を辞めて日本に戻り、3年間教員として勤めました。

日本の教員として働くことはできたんですが、どうしてもタイ・バンコクのことはずっと頭の中に残っていたんです。

やっぱり再度バンコクに戻って、日本人学校で働きたいという思いが心の底にあったんですね。なので、勤めていた学校を退職したんです。

辞める時には「公務員を辞めるなんて気でも触れたか?」なんて言われたりしました。

でも私の中で、周りが考える当たり前や基準というのはあくまでもその人たちのものさしであって、私の当たり前ではないという強い気持ちがあったんですよ。なので、どんなことを言われようと別に気にはしませんでしたね。

そして再度バンコクでの働き口を探し、タイに戻ってきたんです。ちなみにその時27歳でした。

 

好きなこと、それは自分の生きる指針。

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鈴木:今代表を務めていらっしゃる学習塾は、どのようにして立ち上げされたんでしょうか?

小川:バンコクの日本人学校で働き始めたのですが、学校から言われたのは働ける期限があるということでした。その時、期限に追われるという後手後手の生活はしたくないなと考えたんですね。じゃあ何をしようかと考えた時に、やはり自分の誇れるもの・自信があるもの、そして何より「好きであるもの」は「教育」だなという風に思ったんです。

中でも、この自分が「好きであるもの」というところは本当に大きいんですよ。

このインタビューを受けた理由の一つでもあるのですが、やはり自分が何か好きなもの・好きなことした時に、それが人のためになったらそれは貢献じゃないですか。

例えそこに金銭が発生しなかったとしても、自分が好きなことをしてそれが人にためになるのであれば、それが私にとっては自分の生きる指針だなと思うんです。

こういった想いがあって、さらに全ての条件が揃ったものが「教育」だったからこそ、自分で立ち上げようと思ったんですね。

あと、昔からの淡い想いとして、男ならば経営者になりたいといった気持ちもありました。笑 男子が戦国時代の話を好きなように、一国一城の主になって挑戦したいという気持ちがあったんですね。

鈴木:本当にいろんなご経験をされている小川先生ですが、ここまで自分の中で大切にしてきたことはなんだったんでしょう?

小川:流れに身を任せたことですね。自分の芯には「教育」というものがありましたけど、日本語教師でなければダメ、小学校の教員でなければダメといった風に決めつけはしませんでした。教育という部分は大切にしましたが、教育のやり方にはこだわり過ぎなかったというのが良かったと思います。

 

日本人らしくならないといけないわけではない、日本人の良さを知ってもらう

 

鈴木:小川先生の学習塾について教えて頂けますか?

小川:はい。まず学校の教科を教えることが根本にあることは勿論なんですが、今まで私が人生の中で学んだ大切だと思うことを伝えています。それがなんなのかと聞かれると数え切れなくなってしまいますが、例えば「夢をつかむためにはどうしたらいいのか」であったり、「家族を大切にすること、感謝すること」という生きていく上で根本の部分、一つ上の概念でいうなら「生き方」というものを教えています。

鈴木:日本人らしさという点ではどうでしょうか?

小川:日本人らしさというのはとても難しい部分なんです。自分が全ての日本人らしさが分かるのか?と聞かれたらそうではないからなんですね。だた、私は日本人といったアイデンティティーはあるので、大切にして欲しいことは教えるようにしています。例えば、丁寧さ・勤勉さ・忍耐強さといった昔からの日本人特有の長所であったり、あまり読み過ぎてもだめなんですが人の顔色も見て話すことや、空気を読むといったことも日本人らしさでもありますよね。

ただ日本人らしさにこだわり過ぎても、「日本人らしく行動しないといけない」といった凝り固まった考えを与えてしまいます。なので日本人らしさも学んだ上で、それを自分の中でより良いものにして欲しいという想いで生徒たちには伝えるようにはしています。

 

海外で働くという選択肢もあるということを知って欲しい。

鈴木:日本でも教育を追求して、そして現在はタイで学習塾を経営されている小川先生ですが、日本人の若者はもっと海外に出て行ったほうがいいと思いますか?

小川:個人的な考えだと、生きていく道が海外にもあるんだよということを知っていて欲しいなと思います。まず選択肢として、始めから「無し」なのではなく、海外もあり得るといったことを知った上で、どっちを選んだらいいかということをその人に考えて欲しいなと思いますね。あとはその人がやりたいことが海外でしか成し遂げられないんだとしたら、それは間違いなく出て行ったほうがいい。もしそれが日本でもできることならその人が考えればいいと私は思います。

鈴木:ありがとうございました!では最後にこのブログを読んでいる読者の皆さんへメッセージをお願い致します。

 


学習塾TJ☆ブリッジ代表 小川一樹先生インタビュー

 

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