金曜21時の表参道。
この時間になっても高級ブランドショップの煌びやかなネオンや、会社帰りのサラリーマンたちで表参道は賑やかだ。
ブランドショップのイメージが強い表参道も、一本裏道へと入ると小洒落たカウンターバーや個人経営の飲食店が立ち並んでいる。
港区女子とそれを狙う会社員たちの熾烈な攻防が今日も繰り広げられているのだろうか。
でももう私はそこにはいない。
週末は合コンのためのものでしかなかった
いつからだろうか。
週末の夜に自分の時間を作るようになったのは。
昔の私だったら金曜の夜には大手商社マンや金融マン相手に、お食事会という名の合コンを毎週のように繰り広げていた。
新卒から大手人材系の某企業で働いている私は、平日は自分の時間など全くなく、そのストレスを全て週末のお食事会で発散していたのだ。
「人脈作り」と称し、身近な女子たちと一緒に、毎週のごとく将来有望そうな人たちとの食事会へと出かけていく。
ただ、そんな食事会もある出来事を境に興味が持てなくなってきた。
激務に追われる日々から逃げるように詰め込んでいた食事会
参照:ライフハッカー
激務でも有名な企業で働いていた私は、その会社で営業マーケティングの担当者だった。
朝一から仕事を始め、そして帰るのは終電というのは日常茶飯事。
業界ではそこそこの大手だったために仕事の規模ややりがいという面では十分な手応えを感じていた。自分の提案が通ることが多くなるにつれて、任されるプロジェクトも段々と増えていった。
ただ、その時は自分の体が限界だということにまだ気がついていなかったのだ……
その日の食事会の相手は某大手証券会社の若手サラリーマン。
正直、体育会系ノリの飲み会は得意ではなく今回は遠慮したかったのだが、同期の真理子にどうしてもと言われ断ることができなかった。
20時過ぎからスタートした食事会は、時間の経過とともにお酒の飲む量もヒートアップ。
(うわぁ。この雰囲気辛いなぁ)
と自分は感じていても周りの女子たちは楽しそうにしている。
ここで自分だけ抜けて帰るなんて言ったら、今後の関係に傷がついてしまうだろう。
(もう少し我慢しようかな)
真理子の顔を立てるためにもその日はもう少し様子を見ることにした。
注がれるお酒にも仕方なく手を伸ばすが、なんだか今日は美味しく感じられない。
結局その日は終電間際まで帰ることができなかった。
証券マンたちの雰囲気に乗せられて、結局二軒目まで行ってしまったのだ。
「今日は収穫なかったし、何してたんだろうなぁ私。」
突然の体調不良
次の日目が覚めると、なんだか体がだるいし重い。何より胃のあたりがズキズキと痛む。
昨日も結構飲んだし二日酔いかな?と考えたが、二日酔いとは違う。あまりの体調の悪さに、家の近くにある救急外来へと駆け込んだ。
「ストレスとアルコール摂取による急性胃炎の可能性がありますね。あまり若い女性がなるものではないのですが…..なにか心当たりはありますか?」
救急外来で言われたことは大きなショックだった。
今まで大きな病気などしたことはなかったし、まさに健康体として生きてきたからだ。
確かにここ数ヶ月は、平日は朝から晩まで仕事に追われて週末はお酒を飲んで発散するというルーティーンだった。検査で久しぶりに体重計に乗ったら、体重が以前より3キロ増えていた。
「仕事の管理を急に変えるのは大変かもしれませんが、お酒は当分飲んではだめですね。」
「すみません、ありがとうございました。」
診てくれたドクターにお礼を伝え、家路へつく。
今日も夜は真理子に誘われた食事会の予定だったが、この体調では行けそうもない。すごく申し訳ないけど断るしかないだろう。
LINEで真理子に
「ごめん、体調崩しちゃってお酒飲めなくなっちゃった。だから今日行けないや。」
と送ると
「え、大丈夫なの!?今日来れないの残念だけどわかったよー。美保あたり来れないか聞いてみる!」
と1分もしないうちに返事が返ってきた。
真理子は本当にいつもスマホを手放せないみたいだ。「ごめんね、よろしく。」とだけ返事をし、ベッドに寝転ぶ。
「体重3キロも増えてたなー。全然運動とかしてなかったし、ちょっと動かないとだめかな。」
体を動かすことの楽しみ
参照:勉強カフェ イベント情報
お酒が飲めなくなって週末が暇になった。
今までは週末は食事会や誰かとお酒を飲むために存在したようなものだったから。
そして増えてしまった体重を戻すべく、週末は体を動かすことに決めた。
元々学生時代は運動部に所属していたし、スポーツ自体は嫌いではない。だけど社会人になってからは自分にあまり厳しくなれない性格のために、自分から進んで運動はしていなかった。
「最初からきつい運動は無理だから、気持ち良さそうなヨガとかやってみたいなぁ。」
初心者でも参加できるヨガのクラスを探していたら、スポーツジムに登録するのが一番手っ取り早いことを知った。ちょうど家の近所にあるスポーツジムがある程度の月会費を払えば同じチェーンの別の場所にあるジムも使えるというシステムだったので、そこに登録をしてみた。
ジムへと登録した翌週末に早速ヨガのクラスへと参加した。
クラスへと参加しているのは10人くらいで、大体自分と同い年くらいかそれより年上のの女性が多い。
1時間ほどのレッスンを受けたが、初めて体験したヨガはとても新鮮だった。
本当に自分の体?と思うほど学生時代に比べて体は固くなっていたし、ヨガのポーズも他の参加者に比べてぎこちなかったと思う。
でも久しぶりの運動は気持ちが良かったし、なにより少し落ち込んでいた気分のリフレッシュになった。
「ヨガって楽しい!来週末も来てみようかな。」
それからというもの、週末は基本的にスポーツジムへと足を運ぶことになった。自分がこれほどヨガにハマるということに自分自身が一番驚いたくらいだ。
お酒を控えて適度な運動をすることで、自分の体調も次第に良くなっていった。真理子から食事会のお誘いは引き続き来ているが、今は参加していない。
むしろ同じヨガのクラスで知り合った同年代の女性とカフェでお茶をしたり、ご飯を食べることのほうが多くなった。
ヨガを始めたことで、今まで全く知らなかった世界を知るキッカケができた。
体を動かすことがこんなに気持ちが良いだなんて、もっと早くに知っておきたかったとしみじみ考えてしまうほどだ。
金曜21時の表参道にて
金曜21時、表参道。
今夜も高級ブランドショップの煌びやかなネオンや、会社帰りのサラリーマンたちで表参道は賑やかだ。
だけど私はそんな人混みとは逆方向に、駅へと歩を進めている。
今日は表参道の店舗でヨガのクラスに参加してきた。
同じジムでも店舗を変えるだけで会える人が変わるから、定額の月会費を払うだけで別のジムも使えるというこのシステムは面白い。
表参道の店舗だとなんだか優雅で綺麗な女性が多くて、自分への良い刺激になる。
最近ではヨガだけでなく少しずつ筋トレもやるようにしている。
筋トレをすると腕や足が太くなるんじゃ?と思っていたら、ジムでトレーニングしている女性たちの多くは引き締まった二の腕や太ももをしていて、とても綺麗な体をしていた。
自分だってそんな女性になってやろうと思う。
一時はやめていたお酒だったが、最近では嗜む程度には飲むようになった。
食事会のような場ではなく、気心の知れた友人と美味しい食事にあわせてお酒を楽しむのだ。
やはり適量が一番良いということを本当に身をもって学んだと思う。
最近は転職も考えるようになった。
今までは仕事第一ということを考えて頑張ってきたが、自分のことを考えると、そんなに無理する必要もないのかなと感じるようになったのだ。
同じ人材系でも、もう少し規模が小さいところを探してみようと思う。
そして自分の時間が増えたら、もっと自分のために時間を使ってあげたい。
「平日の夜に時間ができたら、ヨガのクラスをもう一つ増やしちゃおうかな!」
まだ転職先も決まっていないのに、今後のことを考えるだけで明るい気分になってしまう。
自分の生き方を決められるのは自分だけ。
まだまだやりたいことを探して生きていきたいな。
そんな風に感じる、「お食事会」を卒業した女・27歳の春だった。
↑こんな感じの女性とお付き合いしたいんですが、どこに行ったら出会えますかね??
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