僕が世界一周を経験をして帰国してからというもの、多くの人から「自分も世界一周がしてみたい・あなたが羨ましい」と言われるようになった。
もちろん海外における未知なる場所への期待感と高揚感があるからこそ、そういったことを言うのだと思う。
でも今回は、「ただ単に旅(世界一周)がしてみたい」という目的がない旅ほど危険なものはないということをお伝えしたい。
[toc]
期待感が大きすぎる
旅に出たばかりの頃は、見るもの全てが新鮮だと思う。
初めて訪れた国・街の雰囲気・風景・香り、そして人。
もしあなたが1週間そこらで旅行をしているならば、それでもとても満足して日本へと帰国するだろう。
でもあなたが1ヶ月、2ヶ月と旅を続けていくうちに、あなたが見るものへの新鮮さは失われていく。
最初は興奮したアジア式の寺院、ヨーロッパにあるゴッシック式建築、様々なカラーの外国人。
でも人は時間の経過と共にそういったものに慣れていく。
時間が経った時にあなたはきっとハッと気がつかされる。
もう最初ほどの感動を得られることができなくなったあなた自身に。
旅することは誰にでもできること
旅をしていない人からすれば、「世界中を旅をする」といった行為だけであなたのことをすごいと思ってくれるだろう。
でも旅を一度でも経験した側からすると、「旅はお金と時間さえあれば誰でもできる」ということを知っている。
是非世界一周旅の経験者に、「世界一周するなんてすごいね!」と伝えてみてほしい。
きっと彼らは「世界一周なんて誰でもできるよ。」と返答すると思うから。
旅をすることは、誰にだってできるということを分かってほしい。
消費するだけの時間
旅をしながら稼ぎたいという人がいる。
でもきっと95%の旅人は自分が使う以上に稼ぐことはできない。
あなたが海外旅行にいく時のことを思い出して欲しい。
きっと日本にいる時以上にお金を使っていたりしないだろうか。
あなたがミリオネアか自分でお金を生み出せる手段を持ってない以上、長期の旅をするということは、きっと節約を余儀なくされる。
それでもあなたのお金と時間は消費されていく。
貯金口座に残っていた数百万円が、残り数千円にまで減ってしまった時の恐怖を考えて欲しい。
ただ単に放浪しながら旅をするということは、消費し続けるということ。
海外は日本と同じではない
海外は日本の外の国のことだと分かっていても、本質的に日本とは全く違うということに気づいていない人もいる。
僕自身、日本という国は「世界で一番便利で安全な国」だと思う。
安全で清潔で平和。
スーパーに行けば食料が買えて、24時間空いているコンビニなんかがある。
海外は違う。
節約して安宿に泊まったらゴキブリが部屋を走り回っていたり、美味しそうに見えるご飯を食べたら食中毒になったりもする。
日本のように着飾って歩いたら強盗の格好のターゲットになるし、実際に旅人のなかには命を落とす人もいる。
僕がブラジルのリオデジャネイロにいた時も、日本人が襲われて命を落とした。
ただなんとなく旅をしてみて命を落とす。
そんな悲しいことはあってはならないと思う。
日本国内を旅行するような感覚で世界を旅することは、絶対にしてはいけないことだと思う。
旅が終わった後のことを考える
「世界を旅したらきっと俺自身も変われると思う!」なんて言う人が大勢いる。
数十年前ならば、世界一周をしたというだけで周りからは尊敬の目で見られていたかもしれない。
でも今は、日本人だけでも数千人が同時期に世界一周をしている時代。
学生の世界一周経験者だって少なくはなくなってきた。
僕が世界を旅して得た結論。
「世界を旅しても、自分自身が大きく変わることはない。」
世界一周を行うだけで自分が凄くなったり、有名になれるなんて幻想だと思う。
素晴らしい転身をしたり、有名になれるのは、「旅を通じて何か成果を残した人」だけだ。
ただお金と時間を消費していただけの人物に、世間からの評価はお世辞でも高くはない。
学生ならまだ今後の未来があるからいいものの、大人が旅をするには責任も伴うことを忘れてはいけない。
旅の目的とは
なぜ旅に目的(テーマ)を持つべきなのか、それは様々なメリットがあるからだ。
・目的を持つことで自分の旅を肯定(プレゼン)できる。
・目的を持って旅することで、そこから派生する人脈につながる。
・目的があることで、旅をすることへの原動力となる。
・目的を達成しながら発信することで、旅を続ける収益を生み出す。
・目的を発信して人脈を広げることで、自分自身の将来のキャリアにつながる。
どうだろうか。
目的がある旅は少し考えただけでもこれだけのメリットがでてくる。
ただ一つだけ釘を刺しておかなければいけないのは、目的がある旅は大変だし面倒臭い。
でも何かの労力もかけずにプラスを生み出すことなんてありえないこと。
自分が労力をかけて達成する目的だからこそ、ちゃんとしたメリットを生んでくれるのだ。
この記事を書いた理由
社会的に旅へと出る人を増やそうという動きがある中で、なぜ僕がこんな記事を書いたのか。
それは
「旅をすることの実態(マイナス面)も知って理解した上で、自分で旅に出る決断をしてほしかったから。」
旅人がこの記事を読んだら、イラっとする人も理解してくれる人もいるだろう。
イラっとする人は自分が肯定したくない事実を並べられて共感したくないだろうし、理解してくれる人は自分の失敗を認めて、これから旅人になる人へと共有したいと思ってくれるからだと思う。
でも僕が世界一周を経験して感じたことを、フィルターをかけずにみなさんに知ってほしいと思う。
今、「なんとなく旅に出たい」、そう思っているあなた。
きっと、あなたの旅は危険なものになると思う。