久しぶりの衝撃的な出会いがあった。
場所はベルリン、ヨーロッパの中でもスタートアップ企業が集まり盛り上がっている街だ。
お会いしたのはBerguideという、登山家とガイドをマッチングするプラットフォームを創業した、26歳の若手起業家の佐藤勇士さん。
唯一の日本人としてアディダスの本社で幹部育成プログラムを受けたなど、佐藤さんについて伝えたいことはたくさんあるが、Berguideや彼自身については後日インタビューを掲載するので、今回は割愛したい。
彼の放った一言
彼とのインタビューの中で強烈にインパクトがあった一言がある。それは
「日本人の若者は自分自身で考える力が弱い。自分の意思で考えて、それをちゃんと伝えようという行為がなかなか出来ていない。」
8歳から15歳までをアメリカで過ごしたという佐藤さん。
日本に帰ってきた時に、日本人の若者たちがいかに自分自身で物事考えていないかを感じたと言っていた。
アメリカにいた頃は自分で物事を考え、それを自分の意思で表現する。それが当たり前のことになっていた佐藤さんにとっては、日本に帰ってきた時の同世代に対し、違和感を覚えたのだろう。
周りに合わせる、流される
佐藤さんに限らず、世界中の日本人起業家たちが言っていたことがある。
「日本人は集団を気にしすぎる。彼らは群れの動きを追うことに精一杯で、自分の意思で動いていこうとしない。」
まさに的を射た言葉だと思う。
集団行動に重きを置いた日本の教育は、子供の頃から個人が周りに合わせることを強要している。その結果社会的な体裁を気にして、大学受験は何を学ぶかよりどこの大学へ入るか、就職活動もより大きい企業、有名な企業へ入らなければいけないという集団的な方向性が生まれる。
ここに個人的な考えなど、ほとんど存在していないと思う。
もしここに、自分の意思でスタートアップで働こうと言い出した学生がいたとする。
彼に対して周囲は、「へーすごいね。」「頑張って!」と上辺の言葉のやり取りはしても、心からその行為を尊敬する人は多くないであろう。
マジョリティはあくまでも大企業での安定志向、いつ潰れるかわからないスタートアップに対し、自分でも気がつかないうちに若干の冷ややかな目を向けている人が多いと思う。
なぜ若者は自分自身で考えられないのか
こちらもベルリンにてお会いした方だが、ベルリンガイドブック (GEM STONE)の著者であり、フリーライター・作家の中村真人さんの言葉も印象的だった。
「日本の若者は一人だけになる時間が圧倒的に少ないんだと思います。学校にいたら友達を探す、授業を受ける、そしてサークルに行く。さらに言うと、一人だけの存在はぼっちなどと揶揄されて嫌な気持ちになってしまう。だからこそ一人ではいられない。でも自分自身のことを考えるとなると、やはり一人でいる時間が必要になる。だから結局、若者たちは考える時間さえ持てていないんでしょう。」
まさに中村さんの言う通りだと感じた。
若者は誰かと一緒にいることを求めて、自分で考えることをしていない。
もし一人でいたとしても、スマホの普及で誰かと常にSNS上の会話を保とうとしているし、集団から離れようとしていない。
一人になろうとする人もいる
昨今は一人旅が男女問わずに人気となっている。
この一人旅が人気というのも、上記のことが理由の一つに挙げられるんじゃないだろうか。
初めて集団から抜け出し自分が知らない場所に一人きりになった時、その人は自分の頭で一生懸命考える。
どこへ行くか、何をするべきか、自分自身の意思を持つ。
そこで初めて、今まで自分で考えていなかったことに気がついたり、改めて自分が知らなかった自分自身の一面を知ったりする、そしてその行為がきっと楽しいんだと思う。
日本の若者たちへ
君たちの最近を思い返してほしい。
最近、自分自身で意思を持ってやったことはなんだっただろう。
一人きりになって、自分自身のことについて考えぬいたのはいつだっただろう。
まずは10分だけでいい。
あなただけの時間を作って、今思い描くことのできるあなた自身を、しっかりと考えてみてはどうだろうか。