インタビュー-アジア

「24歳で独立。学生時代に学んだものだからこそ、韓国語を使って勝負がしたかった。」Seoul Japan Media代表 田中政道さん

 

今回は韓国のソウルにて、不動産サービスから起業コンサルティング・また学生のインターンシップの斡旋など多岐に渡る事業を展開されているSeoul Japan Media代表の田中政道さんにお話をお伺いいたします。

現在の仕事内容はもちろん、ご自身の学生時代の留学経験から新卒入社後、独立するまでの経緯などを話して頂きました! 

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鈴木:本日はよろしくお願いいたします。田中さんの現在のお仕事内容について教えていただけますか?

田中:Seoul Japan Mediaという会社を運営しています。名前の通り韓国と日本の架け橋となるような事業を展開しておりまして、最初は韓国に来られる駐在員や留学生の方向けに不動産サービスを提供するところから始まりました。そこから事業が広がって、最初は住居のみのサービス提供だったのですが、次第にオフィスなどにも着手するようになりました。さらにですね、韓国で会社を立ち上げるにはどうすればいいのか?という問い合わせも多くなりまして、自社でレンタルオフィスを立ち上げて、韓国での会社設立サービスも行うようになりました。今まで自分が苦労しながら経験してきたことをサービスに変換して、それを事業として行っております。

そして韓国に進出している日系企業も多いので、incubation-koreaというサービスも立ち上げまして、このサービスでは日系の飲食店様のマーケティングのお手伝いをさせていただいております。パワーブロガーの方を呼んで会社の宣伝を行ったり、メニュー作成やホームページの作成なども行っています。

他にも紹介しますと、WORKS KOREAという日本の大学生向けに春休み、夏休みを使った韓国でのインターンシップを斡旋するサービスも行っています。ちなみに韓国の芸能事務所でインターンシップをしたりすることもできて、学生からは一番人気がありますね。もちろん韓国にある日系企業でのインターンシップも可能です。

鈴木:これだけ多岐の事業に渡られていますが、現在はどのくらいの人数で全てのお仕事を扱っていらっしゃるんですか?

田中:今は5名ですね。

鈴木:たった5名なんですか?

田中:はい。ただ不動産サービスに関してはポータルサイトのような形ですので、地域ごとに提携企業があって、そちらのパートナー企業と一緒にやっております。

学生時代に学んだ韓国語を使って働きたかった。

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鈴木:まず、なぜ韓国で働こうと思ったんですか?

田中:私は学生時代にチェジュ島にあるチェジュ大学に交換留学生として留学をしまして、やはり留学をしたりするとそこで学んだ言語を使って働きたいなって思うじゃないですか。なので就職活動をする時にも、韓国語が使える職場で働こうと思って活動をしたんです。口だけでは終わりたくなかったので。そして就職をしたのが東京にある不動産の会社で、そこは東京に来る外国人向けの不動産の会社でした。入社して韓国人の担当にもなることができまして、これで夢の韓国語を使った仕事ができることになったんです。さらに入社して半年後にはソウル支店に異動することができまして、これも実は狙っていたんですね。笑 小さい会社だったので、入社する前に自分のキャリアステップを考えていたんです。そして、まさにその考えていた通りに韓国での駐在員生活が始まりました。1年半くらい韓国で仕事をしたんですが、会社が成績不振でソウル支店を閉めることなったんです。でも自分としてはまだ韓国で仕事がしたかったなーと思っていて。笑 なのでこれはもう会社を辞めて、独立しようっ!て決意したんですよ。笑

でも当時韓国で会社を設立するのに1億ウォン必要だったんですね。当時のレートだと750万円くらいでした。もちろん当時はそんなお金は持っていなくて、ある投資家の方にお願いをして足りないお金を借していただいて会社を設立したんです。もちろん会社を設立した後に、借りていたお金はしっかりと返すことができました。

鈴木:当時サラリーマンから起業をされて、当時の思い出深い出来事などはありますか?

田中:そうですね。会社を設立した後に、手元に残ったお金が20万円だけだったんですよ。笑 もちろん自分の家賃もありますし、これはまずいなと。笑 その時は不動産の紹介サービスのみを一人でやっていたんですが、そのサービスを立ち上げて1ヶ月くらい経った時に初めて留学生のお客様から注文が入りまして。たしか5万円くらいのお部屋だったんですが、その手数料が初めての給料でしたね。その時は「おーこれが自分で稼いだお金かぁ。」ってとても感慨深かったのは覚えていますね。でも途中で貯金が尽きたり、本当に波もありました。笑 でもなんとかここまでやってこれましたね。

鈴木:紹介をするお部屋というのも、田中さんご自身で探されて営業をされていたんですか?

田中:はい。当時は名刺1枚持って色々な不動産を回っていましたね。「日本人向けの不動産紹介サイトを運営しているものですが、提携してください!」って下手な韓国語で回ってました。笑 その時が24歳でした。

 

日本では会えない人に、海外だからこそ会える。それが楽しい。

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鈴木:当時は色々な苦労もされたかと思うのですが、田中さんにとって海外で働く魅力というものはなんなのでしょうか?

田中:日本で働いていた時は、朝会社に出社して夜遅くまで働いて週末は寝て過ごしてーというような日々だったんですね。だから同じ職場、業界の人にしか会えませんでした。自分から積極的に動かないと、中々自分がいるコミュニティー以外の人に会えないじゃないですか。でも海外に住んでみると、日本人という共通点だけで、いろんな方に会うことができるんです。それこそ年齢なども関係なく、今までお会いする機会がなかった大使館の方や、大きな起業のトップの人にもお会いすることができます。日本だったら20代と50〜60代の起業のトップが会える機会ってあんまりないじゃないですか。そういったことが海外だとチャンスがあるし、その出会いが本当に楽しいですね。

鈴木:現在日本人の若者は内向きと言われていますが、海外に出たがらないということに関して田中さんはどのようにお考えですか?

田中:私は学生時代に留学もしていますし、昔は海外で勉強したいだとか仕事で駐在をしたいっていう方が多かっただけに、行きたがらない意味がよくわからないですね。もちろん日本はご飯も美味しいし住みやすいですけど、個人的な意見としては海外に住む方が楽しいと思いますね。

例えば、モノで言ったら家なんかは東京だと大きな部屋は借りるには高い家賃を払わなければいけないですけど、海外なら同じ家賃で2倍3倍の広さの部屋に住むことができます。それに友人と飲みに行く時なんかも、日本だと終電を気にしますがソウルならタクシーがめちゃくちゃ安いのでそこまで時間を気にせず友人と時間を過ごすこともできますからね。海外の方が日本より物価が安い場合が多いですので。

やはり海外で仕事をする上で一番充実してくるのは、プライベートな時間だと思いますよ。やりがいのある仕事をすることも大事ですが、仕事をしている時以外の遊びだったりプライベートな時間が日本よりも充実しているのが大きな魅力だと思います。

一つのシャトルバスに乗り切れるくらいの人数で、スタッフと一緒にアットホームな会社を築いていきたい。

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鈴木:最後の質問になりますが、今後別の国に進出をしたり、目標などはありますか?

田中:別の国に進出をするという点でいうと、今は丁度サイトを立ち上げている最中なのですが、次は台湾に進出したいと考えています。というのも、現在の自社のサービスとマッチングするのが台湾だなと感じているんです。あとは距離的にも近いということと、人が親日で優しいということも魅力ですね。今後の目標でいうと、もちろん利益も大事なんですが、アットホームな感じでスタッフと一緒に仕事をしていきたいですね。個人的な想いとしては、ただ会社を大きくしていくのではなくて一つのシャトルバスに乗り切れるくらいの人数で、ちゃんと給料を支払ってあげて、スタッフみんなで一緒に仕事を頑張っていきたいなと考えています。

鈴木:そうやって言ってもらえるスタッフの皆さんが羨ましいです!台湾進出楽しみですね!本日は貴重なお時間を頂きまして、ありがとうございました!

あとがき

昨今就職活動をしている学生というのは、やりたい仕事や分野ではなくどれくらいの規模の会社か、どれくらいの年収なのか、どんな福利厚生があるのかといった部分で会社を選んでいることが多い気がします。

田中さんは自分が韓国で仕事がしたいからこそあえてベンチャーを選び、そして実際に韓国駐在・その後独立というルートを確立しました。やはり自分がどんな場所で働きたいか、何をしたいか、そして将来どうなりたいかをしっかり考えられるかそうでないかで、その人のキャリアステップというものは大きく変わっていくのでしょう。

日本の就活という制度や企業側の学生へのアプローチの仕方というのも、こういった現状を生み出している一つの原因なのかもしれません。しかしながら学生から「自分は将来こうなりたいからこれをしたい」といった、自分の意思をちゃんと伝えることのできる人材が増えて欲しいと思います。